2017年3月27日月曜日

つながることで増える価値



全学部コラボ企画、「学問のミカタ」、2016年度3月を担当する石川です。今月のテーマは「SNS」です。大学や高校、小中学校で卒業式が行われているこの3月、卒業生の皆さん、御卒業おめでとうございます。新生活に希望と不安があるだけでなく、これまで同じ日々を過ごした仲間たちとも、これからは頻繁には会えなくなるのは、少しさびしいですよね。私が小学校や中学校を卒業する時は、そんな仲間たちとこれからも連絡を取り合えるように、メッセージ付きの手書きのプロフィールカードを交換し合ったことを懐かしく思い出します。

 それはそれでとても味のある光景ですが、仲間たちとつながり続ける上での便利さの点では、現在多くある様々なSNSの機能性に、手書きのプロフィールカードは太刀打ちできません。ゼミの卒業生たちがSNSを通じて気軽に連絡をくれたりする時、私もその便利さを実感します。

 このようにとても便利なSNSですが、現在その種類も様々です。皆さんはどのSNSが一番便利だと感じますか?

SNSの便利さを考える時、そのSNSがどのような機能を有しているかというシステム面以上に、そのSNSの利用者につながりたい人がどれくらいいるかということを重視する人も多いのではないでしょうか。これは至極当然のことです。端的にいうと、つながりたい人が誰も利用していないSNSでは、望むつながりが一つも持てないからです。

 SNSのような、ネットワークの特性をもつサービスや製品において、そのサービスの利便性に、利用者数や利用頻度が影響を与えることは、「ネットワーク外部性」や「ネットワークの経済性」と呼ばれます。利用者が増えれば増えるほど同じサービスでも、その満足度が上がっていくわけで、一種の規模の経済ともいえます。似たようなSNSが数多くあっても、特定のSNSに利用者が集中するという現象は、このネットワーク外部性の存在による部分が大きいといえます。



SNSだけでなく、外国語の習得を考える際、英語を学ぼうとする人が多いのも、その背景に国際的なコミュニケーションで英語を利用する人が多いことがあるからであり、これもネットワーク外部性の例と言えます。

もちろん、ネットワークの価値はどれだけの人とつながれるかだけでなく、どのような人とつながれるかも大事です。私のゼミの卒業生のネットワークは、まだまだ小さいですが、私にとってはとても大切なつながりです。卒業生の皆さん、これからの活躍を期待しています!


投稿者 石川雅也


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